想像力を奪うもの 〜 『ジェーンとキツネとわたし』

最近『ジェーンとキツネとわたし』というグラフィック・ノベルを読んだ。

※この本にはいじめの様子が詳細に描かれているため、読む際はフラッシュバックなどに注意

 いつもクラスメイトからいじめを受けている主人公エレーヌが心の中で「わたしには、ツタみたいに伸びていく想像力があるのに、あの子が考えだす新しい悪口には、いつも不意をつかれる」と語っていたのが忘れられない。排除は人の想像力を容易く奪うものだ。それが当たり前となった生活に色はなく、見える風景も、自分の感情もすべてモノクロになる。
そんなエレーヌのモノクロ世界を彩ってくれたのはジェーン・エアを読んでるときと、美しいキツネとの一瞬の邂逅だけ。本を読んでるとき、そして珍しい何かを見つけたときに、モノクロの世界がカラフルな世界に変わる描写は良かった。最後はエレーヌにも新しい友達ができてハッピーエンドで終わったが、個人的にはモヤモヤも残った(その新しい友達がいじめを傍観していた人だったので、また同じようなことが起こったら…?という心配もある)

でも読んで良かったです。グラフィック・ノベルというだけあって、絵に迫力があった。